S275とS355はEN 10025に準拠した欧州・英国で最も多く使用される2つの構造用鋼材グレードです。「Sは構造用、数字は降伏強さ(N/mm²)」です。常にS355を指定するのは一般的な設計ミスです。変形制御の設計では、S355を使っても断面を削減できず、コストが増すだけです。

基本的な力学特性

特性S275S355
fy(t ≤ 16 mm)275 N/mm²355 N/mm²
fy(16 mm < t ≤ 40 mm)265 N/mm²345 N/mm²
fu410–560 N/mm²470–630 N/mm²
弾性係数 E210,000 N/mm²210,000 N/mm²

弾性係数Eは両グレードで同一です。これが重要なポイントです:剛性は同じなので、たわみ制御の設計では同じ断面寸法に対して同じたわみ量になります。

EN 10025サブグレードと靭性

英国の産業構造物では、S355 J2が最も一般的な仕様です。S355 JRは+20°Cの試験温度では英国の冬季環境での靭性を保証できないため、主要な荷重負担部材には避けてください。

炭素当量と溶接性

炭素当量(CEV = C + Mn/6 + (Cr+Mo+V)/5 + (Ni+Cu)/15)は溶接中の冷間割れ感受性を示します。典型値:S275 JR/J2: CEV 0.39〜0.43、S355 JR/J2: CEV 0.43〜0.47。S355の厚板(>50 mm)ではEN 1011-2に従った75〜150°Cの予熱が必要になることがあります。S275では一般的に予熱不要です。

強度支配対変形支配

強度支配の設計(S355が有利):短スパンの重荷重梁、断面積が決定的な柱、重い接続部設計、軽量化が振動軽減に直結するクレーン梁。

変形支配の設計(S355は不要):たわみが支配する長スパン梁(L/360など)、振動感受性の高い構造物、精密機械の基礎。これらの場合、S355を使ってもたわみは改善されず(同じE)、5〜10%のコスト増になるだけです。

断面分類への影響

EC3の断面分類はε = √(235/fy)で修正された幅厚比に依存します。S275ではε = 0.924、S355ではε = 0.814です。同じ断面(例:HEB 240)がS275ではClass 1(塑性)、S355ではClass 2または3になる可能性があります。S355では幅厚比の制限がより厳しくなります。

選定の実践的ルール:ULS(終局限界状態)検討が支配的で、SLS(使用限界状態)のたわみが余裕をもって満足される場合、S355は断面と重量を約20〜25%削減できます。たわみや振動が支配的な場合はS275を使い、構造形状の最適化に投資する方が経済的です。

Forgepointは鉄骨構造設計を提供します。グレード選定、EC3計算、溶接仕様、製作図面を含みます。

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